土について

デンマーク留学中に初めて土に触れた時、磁器土の滑らかさと白さの虜になりました。他の土よりもずっと気を使わなければいけない、繊細でワガママな箱入り娘の様な土ですが、その分奥深く魅力的に感じています。

KanamiTakedaCeramicsのプロダクトには主に有田の磁器土を使用しています。
日本の数ある産地から様々な磁器土を取り寄せ、電気の窯で焼いた時に一番優しい色合いが出るものを選びました。

ただプロダクトの機能によって、別の土の方が適切であるとデザイン上判断した場合には拘らず、他の土を使用することにしています。
土それぞれの特性を知り、また新しい土について研究を重ねることはライフワークの一つであり、KanamiTakedaCeramicsでは多くの素材に対して常にオープンでありたいと考えています。


土を扱っていて常々思うのが、土は有限であるということ。
年々磁器土の原料となる陶石は少なくなっていきます。
そして土は一度焼いてしまうと元の土の状態には戻せず、リサイクルができない素材。
今何気なく扱っているこの土は何百年後には一部の限られた陶芸家しか使うことのできない特別な土になるかもしれない。
そう思うと背筋がピンと伸びる思いで、作り手として一つ一つの作品に出来るだけ丁寧に向き合うと共に、
完璧であることにこだわりすぎないこと、そして、どうしても制作の過程で出てきてしまう訳ありの品も無駄にしないということは大切だと考えています。

 

釉薬について

釉薬は基本的にオリジナルのもの、原料から調合したものを利用しています。
釉薬のレシピの調合はまるでお料理の様で、少し塩を足したり、もう少し煮込んでみたり、
そんな微細な調整で出来上がりが全く違ってきます。
組み合わせは無限にあり、釉薬のテストを窯から出すときは陶芸をしていて一番ワクワクする瞬間の一つです。

釉薬の色は金属の粉などによって発色します。元々調合された色の粉を加えて発色させる方法もあり、それぞれ良い面はありますが、自然のままの金属での発色の方が色に奥行きが出ると考えています。それは同時に発色や濃淡にムラが出るものが多いということで、プロダクトの均質化のためには、そうした個体差の出やすい釉薬は避けられがちです。ただ同じプロダクトでも一つ一つ個性がある方が愛しく思え、機械で大量生産されたものでない、人の手で一つ一つ作られたものだということをより感じることができると考えています。



 

 

インスピレーション

白のポーセリンのシリーズは当時よく通っていた
アンティークショップやのみ市から多くの影響を受けています。
時代を超えて残ってきた、古く、美しく、また奇妙な、収集癖を刺激するものたち、
何十年、何百年後のアンティークマーケットで、同じ様にそっと不思議な魅力を出しながら、並べられていたらいいなと思いつつデザインしました。
同時にモダンなデザインと並べても違和感がないバランスを心がけています。

帰国してからのインスピレーションは専ら日々の生活から得る事が多いです。
5年間デンマークで過ごし、すっかり生活スタイルが洋式になったことから、
日本の生活の知恵、料理、和の道具類など、改めて新鮮な気持ちで見ることができ、
そこからの刺激を今までのスタイルに溶け込ませて、あったらいいなと思うものを形にしています。

また日本における陶芸の原料、素材の豊富さから釉薬のテクスチャーや色に、より着目することも増え、表現の幅も広がってきています。新しい素材を試すことは、何よりもワクワクすることの一つで、そのテストの結果からインスピレーションを受け、作品のアイデアが生まれることもあります。